御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
ただ、全国大会常連校なので練習は厳しく、夏休みまでに辞めていく女子がほとんどだった。

その中辞めずに続けていた菫を、悟は妹のようにかわいがっていた。

その悟との見合いなど、菫にはまるで考えられない。

思い返せば電話をかけてきた菖蒲が見合い相手は悟だと言っていた。

そのときは混乱し相手にまで気が回らず忘れていたが、たしかに悟だと言っていた。

「母さん、すごくお見合いに乗り気だし。悟君、お母さんになにか言われたんでしょう」

「え、全然違うよ」

あれこれ思い悩む菫とは逆に、悟は平然とコーヒーを楽しんでいる。

菫は悟が見合いの話を持ち出してすぐに受付の女性に声をかけ、ロビーの一番奥のテーブルを使わせてもらっているのだ。
 
来客との打ち合わせに使うスペースには二十テーブルほどが配置され、今も数組が打ち合わせ中だ。

菫は悟から手渡された名刺に目を通し、驚いた。

「三峯建設ってあの三峯建設? え、どうして?」

「理由? 業界最大手で楽しそうでしょ。大学もこっちだったしサークルの先輩が三峯にいてこれも縁かなって思ったし。今のところ俺の選択眼に狂いはなかったよ」

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