御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「照れなくていい。俺もそうだ。いや、俺のほうが重症だな。たったひと晩が限界で強引に仕事を終わらせて帰ってきたほどだからな」

耳元でくすくす笑う黎の声に、菫は口をつぐんだ。

黎の口から重症だとか限界だとか聞き慣れない言葉が続き、落ち着かないのだ。

「今回は一週間、それも海の向こうだ。つらくても簡単には帰ってこられない」

黎はそう言うと、いきなり菫の耳たぶを甘噛みする。

「れ、黎君っ」

黎に噛まれたところから全身に痺れが走り、菫は身体をのけぞらせる。

黎は菫の震えなど気にせず舌先で耳たぶを刺激し続け、大きな手は菫のお腹の上を動き始めた。

「これ以上はしないから安心しろ。ちびをびっくりさせたくないからな」

黎の手は壊れ物を扱うかのように菫の身体を優しく這う。

わずかに波ができるお湯の中、初めて感じるほどよい痺れが心地よく、うっとり目を閉じそうになる。

菫は優しい刺激に包まれながら全身を黎の身体に預けた。

赤ちゃんも気持ちいいはずだ。

「いい湯だな。だけど向こうに行ったらシャワー三昧だな」

黎がバスタブの縁に身体を預け、つぶやいた。

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