御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「あ、この間始まったアニメの本もほしいの。子どもたちが今夢中なんだけどキャラの名前を覚えられなくて。ちゃんと覚えて話に入りたいのよね」

菖蒲は広い店内をあちこち見て歩きながら、園児たちの話を続けている。

その表情はとても穏やかで愛らしい。

本当に園児たちが大好きなのだろう。

この間の電話で話して以来、菫は結果的に菖蒲に幼稚園をおしつけたことに引け目を感じていたが、少なくとも菖蒲は幼稚園での毎日を楽しんでいるようだ。

だからといって許されるわけではないが、菫は菖蒲の笑顔にほんの少し気持ちが楽になった。

「本ならネットでも買えるけど、実際に見て選びたいのよね。だけどいざ手に取ると全部欲しくなるから困る」

そう言って苦笑しながらも、菖蒲はその後も次々カートに入れ続けている。

結局三十冊近くになった本はすべて書店から自宅に配送してもらうことにして、ふたりは書店を後にした。

ちょうどお昼時で、菫は書店からも近く以前から行ってみたかった和食の店に菖蒲を案内した。

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