御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました～愛を知らない彼女の婚前懐妊～

今まで何度も同じ言葉を心の中で繰り返していたのだろう。

それだけ悟のことを考え続けているということだ。

菫は菖蒲の切なさを思い、これまでなにも知らず自由に暮らしていた自分を改めて情けなく思う。

菫が得た自由のせいで、菖蒲が実家のすべてを背負うことになったのだから。

だからこそ今回は、菖蒲はあきらめてはいけない。

自分が望む相手、そして望む未来を手放してはいけないのだ。

「悟先輩ね、言ってたよ。菖蒲と結婚するつもりだし自分もお父さんの会社を継いで今より大きくするって」

「そんなの無理」

「そう思ってるのは菖蒲だけ。難しく考えすぎなのよ。たとえ菖蒲が将来園長になって他に手が回らなくなったとしても、悟先輩は誰かのサポートが必要な弱い人じゃないでしょう？　お互いの立場を理解して仕事を進めれば大丈夫だと――」