御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「変わってないのは幼稚園だけじゃなくて菖蒲も同じ。昔と違って今はなにもかもが発達してるんだよ。菖蒲が時間を割けない分、他を頼ればいいのよ。便利な電化製品を買いそろえてラクをすればいいし、人を雇ったりネットを駆使して仕事を減らすこともできる。案外簡単に解決するはずだよ」

菖蒲の表情に変化が現れた。

「それに、私は絶対に悟先輩とは結婚できないの」

「菫ちゃん?」

「私ね、妊娠してるの。さっきお酒を飲まないって言ったのはそのせいなの」

「妊娠? え、本当?」

「驚かせてごめんね。だから悟先輩とは絶対に結婚できないの」

「あの、菫ちゃん、恋人がいたの? そういえば母さんが会社に押しかけたときいきなり弁護士さんが登場したって言ってた。紅尾・・・・・・極? 名刺を見たら芸能人みたいな名前だったから覚えてる。もしかしてその人?」

「違う違う。その弁護士さんの従兄弟なの」

記憶をたどり極の名前を口にした菖蒲に、菫は笑い声をあげる。

たしかに芸能人のような名前で、だとすると黎も芸能人のような名前だ。

顔だって芸能人顔負けの端正なつくり。

決して名前負けしていない。

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