御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫の言葉を遮る菖蒲の呆れた声が部屋に響く。

「その菫ちゃんの大切な人、黎君だったよね。彼は菫ちゃんのサポートがなかったらなにもできないお馬鹿さんなの? いわゆる能なしの御曹司?」

「そんなことない」

黎を馬鹿にされ、菫は顔を赤くし勢いよく首を横に振る。

「黎君はお馬鹿さんじゃないし能なしの御曹司でもない。私にはもったいないほど素敵な……あれ」

「ふふっ。気がついた? それ、さっき菫ちゃんが私に言ったんだよ」

「あ……そっか」

くすくす笑う菖蒲につられ、菫の顔にも笑みが浮かぶ。

「いっそ能なしなら迷わず結婚するのに。残念ながら優秀すぎて私とはなにもかもが違うからサポートするどころか足を引っ張ると思う。だからついて行きたくてもついて行けないの」
 
次第に小さくなる菫の声に、菖蒲はどうしようかとため息を吐く。

菫と菖蒲は双子とはいえ見た目も性格も似ていないのに、頑固な性格だけは似てしまったようだ。

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