御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
黎は翻訳器を手に取り「へえ、結構使いやすそうだな」と興味深そうに眺めている。

外国語に堪能な黎には縁のない代物だから初めて見るのだろう。

「旅行を楽しみにするのはいいけど、極端すぎないか? ガイドブックや会話本が山積みだぞ」

黎はラグに座る菫の隣に腰を下ろし辺りに積まれている本を面白がるように眺めている。

「そういうわけでもないんだけど……あれ?」

菫が散乱しているガイドブックたちの理由を考えながら黎の顔を見ると、少し頬がこけていた。

「ねえ、痩せちゃった?」

「かもな。今回も相当頑張ったから、ワイシャツのサイズも変わった気がする」

ネクタイを緩めワイシャツのボタンをいくつか外した胸元から鎖骨が綺麗に見えている。

それが気になった菫は黎の身体にのしかかるように身を寄せ、くっきり表れている鎖骨を指でなぞってみる。

「本当だ、前より少し痩せた感じ。ねえ、ちゃんとご飯食べてたの?」

胸元から手を差し入れ、細くなった黎の身体を確認する。

顔色は悪くないが、前回の出張同様目の下にクマがありかなりかなり疲れているようだ。

「あ、もしかして体調が悪くて早く帰ってきたの?」
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