御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫は心配そうに黎の顔を見つめる。
黎は背後のソファに背中を預け、天井を見ながら大きく息を吐き出した。
「そうじゃないから安心しろ。たしかに疲れてるけど、一日早く帰ってきたのはそのせいじゃない」
黎の腕が菫の身体に回され、そのままぐっと引き上げられる。
そして目線の高さが合ったと同時に黎は菫の唇に軽くキスをした。
「ただいま」
「あ……おかえりなさい」
吐息が重なる至近距離で見つめられ、菫は恥ずかしさに頬を染める。
「ちびも、元気か? 大きくなってるか?」
菫のお腹に向かって話しかける黎の声に疲れが滲んでいる。
「でも、どうして今日帰ってきたの? あ、もちろんうれしいけど突然目の前にいるからびっくりした」
「一日でも早く菫に会いたくて仕事を猛烈に頑張ったんだよ。だけど出張のたびにこの有様だ、ほんとに疲れる。俺が社長に就任したら株主総会で菫を連れての出張が認められる案を議題にあげることにする」
芝居がかった大げさなため息を吐き、黎はくすくす笑う。