御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
菫は黎の体の下から手を伸ばし、出張前より少し尖った顎を優しく撫でる。

菫に早く会いたいがために仕事を前倒ししたと聞いてうれしくないわけはないが、無理はしてほしくない。

海外で倒れたら簡単に会いにいけないのだから。

菫の心配を察したのか、黎は「わかってる」とひとことつぶやき菫の目尻にキスをする。

「前倒しで仕事を終わらせるくらい、菫に夢中なんだ。これから先、出張のたびに痩せて帰ってくるかもな」

「冗談でもそんなこと言わないで。体を壊したら出張どころじゃないでしょう」

たとえ夢中だと言われても、これだけは譲れないとばかりに菫は語気を強める。

「あながち冗談でもないんだけどな。今回も菫を連れてくればよかったって初日から思ってたし――」

「だったら」

菫は黎の口を手のひらで塞ぎ、甘い言葉を遮る。

「だったら私が黎君についていくから。たとえどの国に行くことになっても黎君から離れない」

「菫?」

「離れたくないのは私も同じ。英語も苦手で仕事を続けられるのかもわからないけど、ついていくって決めたから。足手まといになっても絶対離れない」

「ちょっと、待て」

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