御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「これ、かなり味が染みていてうまい」
 
今朝早くから煮こんだふろふき大根を口に運び、黎は満足げにつぶやいた。

ロンドンでは食事や睡眠時間を削って仕事を片付けていて、これが久しぶりのちゃんとした食事だと笑っている。

菫は「これからはそんなこと絶対にやめて」ときつく言い聞かせたが、黎は肩をすくめて笑うばかりで返事を濁していた。

「西京焼きも食べてね。黎君、疲れてお肉の気分じゃないときいつもこれを食べてるから用意しておいたの」

明日食べる予定で作っていた料理を盛大にテーブルに並べ、菫はせっせと黎に食べさせる。

しっかり食べて今回痩せてしまった分を取り戻してほしいのだ。

「俺のことはいいから菫も食べろよ」

「食べてるよ。黎君がいない間もしっかり食べてたし。あ、極さんが大粒の苺を送ってくれたから、あとで用意するね。一粒食べたけどすごく甘くておいしかった」

弾む菫の声に、黎は不機嫌な表情を見せる。

「おいしいのはいいけど、極のいいように後押しされてる場合じゃないだろ」

「あ……ごめん」

「それにうちの両親に会ってるなんて、聞いてなかったぞ」

黎はやれやれと、肩を落とす。
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