御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~

「大体俺に海外赴任の話があればすぐに菫に話す。前に言っただろ、転勤するとしたら俺はドイツでもどこでも菫を連れていくって。忘れた?」

「今思い出した」

そうだった。黎はこういう人だったのだ。

菫の婚約者がドイツに赴任していると聞いたとき、黎は自分なら菫を連れて行くのにと言っていた。

「菫の都合もあるけど、赴任先にふたりで行くっていうのは絶対だ。この先可能性はあるからそのつもりでいて」

「わかった」

 なにがあっても黎と一緒にいられる確約をもらえたようで、菫は口元が緩むのを我慢できない。

「菫にそんな誤解をさせた航は、こっぴどく叱っておいたから。たしかに最近海外出張が増えてるけど、だからって海外赴任に結びつけるなんて早とちりもいいところだ。あれで富川製紙の後継者だろ? 菫の会社大丈夫か?」

黎は菫の誤解を知ってすぐに航に電話し声を荒げ怒っていた。

ふたりは気心が知れた間柄だとは言え、傍らにいた菫はその剣幕にはらはらしていた。

黎の逆鱗に触れた航は気を落とすこともなく、逆に当面の間黎に海外に赴任する予定はないと知ってかなり喜んでいた。

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