御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「さっきも言ったけどうちの親、菫をかなり気に入ってるからもう逃げられないぞ。世界的大企業の創業家の一員というやっかいな肩書きが菫にプレゼンとされたってことだ。正直そんな肩書き押しつけたくないけど、その苦労以上に俺が菫を幸せにするし、一生愛して大切にする」

菫の頭に顔を埋め、黎はわずかに不安を含んだ声で菫に言い聞かせる。

大企業を背負う責任とプレッシャーを知っている黎にとって、菫にその荷の一部を背負わせてしまうのが心苦しいのだろう。

「平気。黎君と一緒にいる。私はそれだけでなにもかも万事OKってわかってるから」

黎が出張で家を空けるたびに、嫌でもそれを痛感した。

「翻訳器とか山積みのガイドブックとか英会話の本を見ればわかるでしょう? 私、とっくに覚悟を決めてるの」

「お、かっこいいな」

極に連れて行かれた黎の実家で、黎の両親はこれは結婚に興味がなかった黎にようやく訪れたチャンスだと喜び、菫に早く結婚してほしいと繰り返していた。

極が「分割ででも弁護士費用を自分で払おうとするおかしな子だけど、悪くないと思うよ」と微妙な言葉で後押ししたのも大きいかもしれない。

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