御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
つわりで赤ちゃんの存在を感じる菫と違い、まだなんの手応えもない黎は胎動が待ち遠しくて仕方がないらしい。

「あと一カ月くらいで動くかな。検診のときにエコーで見るとちまちま動いていてかわいかったよ」

「なんだよ、菫だけずるいよな。次の検診っていつ? 俺もついていってちびの顔を見るからな」

「ちびの顔はまだよくわからないと思うけど、来月予約を入れてるから一緒に来てくれる?」

菫は期待に満ちた声で黎の顔を覗きこむ。

前回の検診のときには黎に妊娠のことを伝えられずにいたせいでひとりで検診を受けたのだ。

「もちろんついていく。そうか、いよいよちびに会えるんだな」

「会えるって大げさ。あ、心臓の音も聞かせてもらえるよ。それを聞くと本当にお腹の中で生きてるんだなってうれしくなるの」

「え、なにからなにまで菫だけが独占して、本当に悔しくなってきた。おい、ちび。今度は俺にも心臓の音聞かせろよ。スマホに録音して俺も楽しむことにするからな」
 
黎は真面目な表情で真剣につぶやいている。

どれだけ赤ちゃんを楽しみにしているのだと、半ば呆れ、菫は苦笑した。

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