御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「菖蒲、久しぶりだね。えっと、父さんと母さんになにかあった?」
『ううん。それは大丈夫。ふたりは元気。あのね、母さんからも連絡があると思うけど、菫ちゃんにお見合いの話があるから帰ってきて』
「え……? お見合い? 私に?」
思ってもみなかった言葉を耳にし、菫の声は裏返る。
以前、母が望んだ見合いがまとまらず、その結果菫は完全に母から見放された。
そんな自分に再び見合いの話が持ちこまれるとは考えられない。
「菖蒲も知ってるはずだけど、私、母さんから嫌われてるし、前のお見合いだってうまくいかなくて。だから私にまたお見合いなんて・・・・・・嘘でしょう」
『嘘じゃないよ。母さんが菫ちゃんのために、前よりも条件がいいお見合いを用意したのよ』
「そんな、お見合いって。だって私……あ」
菖蒲の言葉に動揺して力が抜けた菫の手からスマホが滑り落ちた。
するととっさに黎の手が伸び、ラグの上に落ちる寸前のスマホを掴んだ。
「あ、ありがとう……」
『それでね』
菫が黎からスマホを受け取ろうとした瞬間、スマホから菖蒲の声が響いた。