御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「あ、あの。だから、彼女の話はもういいの。えっと、私が黎君に嘘をついていたのが悪いんだから。そもそも恋愛経験ゼロの私がいきなり結婚なんてあり得ないよ。恋人どころか男性の友達も黎君と航君くらいしかいなくて今時の中学生の方が知識は豊富だろうし。そんな私が結婚なんて、ないない。黎君だったらすぐにでも結婚できそうだけどね」

菫は再び彼女の話を続けそうな黎を制してひと息にそう言った。

思いつくまま言葉をつないで取り繕ったが、黎にどう伝わったのか自信はない。

おまけに最後の言葉は拗ねているみたいで不要だったなと反省する。

「中学生の方が……まあ、たしかにそうかもな。知識もそうだし、菫より察しがいいよな、きっと」

黎は最初菫の勢いに面食らっていたが、次第に表情を和らげおかしそうに目を細めた。

「察しが悪いのは菫だけじゃないか。俺もまんまとだまされてたってことだからな」

黎は軽い口調でそう言うと躊躇なく菫の頬を撫で、自然な動きで耳たぶをもてあそび始める。

そして指先で持ち上げた髪に口づけを落としている。

「れ、黎君」

じゃれるようなふれ合いに頬を染め、菫の声は裏返る。

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