御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「それに、母から妹が幼稚園を継ぐから好きにしなさいと言われて……だから私、大学卒業後も地元に帰らずこっちで就職して頑張ってきたのに」

しばらく忘れていた子どもの頃の苦しい思いが勢いよくよみがえる。




『あなたは菖蒲と違って本当になにもできない子ね』

菫は物心がついた頃から母にそう言われて育ってきた。

双子といっても二卵性の菫と菖蒲はそれほど似ていない。

手足が長くスラリとしたスタイルの菫と小柄で丸みを帯びたスタイルの菖蒲。

今も昔もひと目で見分けられるほど、ふたりの違いは歴然としている。

顔立ちも目鼻立ちがはっきりとしていて美人だとよく言われる菫に対して、菖蒲は笑顔が愛らしい幼顔。

菖蒲の愛らしさは顔だけでなく性格にも当てはまり、子どもの頃から菖蒲は周囲の人気者だった。

人見知りなど無縁な性格ゆえに他人の懐に入るのが得意で、初対面の人ともすぐに仲よくなっていた。

成績に関してはふたりとも優秀で問題はなかったが、菖蒲に限っていえば、ずば抜けて秀逸な成績を収めていた。

< 54 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop