御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
今こうして再び見合いの話が持ちこまれ、この話を断ったらもう二度と母からのコンタクトはないかもしれないと不安になり、心は大きく揺れている。

「私、まだ心のどこかで母と仲直りできるかもしれないって期待していたのかな」

可能性はほぼないと納得していても、やはり期待していたのかもしれない。

親子だからという一点、それだけに縋っていたのだ。

「だけど、やっぱり嫌だ……。お見合いも嫌だし、戻りたくない」

「だったら戻らなくていい」

黎は力強い声でそう告げると、菫の頭をさらに強く自分の胸に押しつける。

「見合いは断れ。実家の反応が気になるなら俺が一緒に行って話をつけてもいい」

「れ、黎君にそこまでしてもらう理由が……」

黎の胸の中でもぞもぞ顔を上げ、菫は瞳を瞬かせる。

菫の話を聞いてもらうならまだしも、家族と話をつけてもいいとは理解が追いつかない。

「理由? ただ菫が大切なんだ。なんといっても俺は、困ってる菫に弱い。家族との関係を考えると仕方ないとは思うけど、ひとりで踏ん張ろうと気負ってる菫が心配でたまらないんだ」

「あ、あの……」

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