御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「突然いろいろ聞いて、頭が追いつかない」

菫はいったん落ち着き頭の中を整理しようと考え、ベッドの上で姿勢を正した。

黎も気持ちを切り替えようと思ったのか、サイドテーブルの上のライトを点灯させた。

趣のあるオレンジ色の光がぼんやりと室内を照らし出す。

それまで暗かった部屋が明るくなり、菫は部屋の片隅の書棚にあるガラスケースが目に入った。

ケースに入っているくす玉には見覚えがあり、菫はそれをまじまじと見つめた。

「あれって、私が作ったくす玉?」

菫はガラスケースを指差し、黎に問いかけた。

黎は気まずそうに肩をすくめる。

「あ、ああ。見つかったな。菫が作ってくれたくす玉だ」

「え、なんでここに?」

ガラスケースの中に収まっているのは、二年前、菫が黎の母親のために制作したくす玉だ。

金色と茶色を基調にした華やかなもので、おりがみ六十枚を使っている。

「もしかして、お母さん、気に入らなかった?」

菫は不安げな声でつぶやいた。

二年前の正月、母親との折り合いがうまくいっていない菫は実家に帰省せず、自宅でひとりの正月を過ごしていた。

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