御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
大学時代から続くひとりの年越しや新年には慣れていたが、その年は黎が菫を初詣に連れ出してくれた。

すでに黎への想いを深めていた菫は、家族と海外に行っているという黎の彼女に申し訳ないと思いながらも黎とふたり、神社へと出かけたのだ。

そこで偶然黎の両親とかち合い、気のいい黎の母が菫にお年玉をくれた。

立場上新年の挨拶などで顔を合わせる人数は多く、ポチ袋に入れたお年玉をいくつも持ち歩いているそうだ。

すでに社会人となりお年玉をもらう年齢でもない菫は必死で遠慮したのだが、黎の母親は「私たちに比べたらあなたたちはまだまだ子どもよ」とにこやかに笑い、菫の手にポチ袋を押しつけた。

実家を出て以来お年玉には縁がなかった菫は、ポチ袋に描かれた七福神のイラストを見ながら泣きそうになった。

ひとり暮らしを初めてからそれまで、実家に頼らずなにもかもをひとりでこなし頑張ってきた。

そんな中、誰かにこうして「子ども」だと言って気遣われることがどれほどうれしいものなのかを実感し胸がいっぱいになったのだ。

後日、そのお礼として作ったくす玉が今黎の部屋に飾られている。

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