御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
黎の口からくぐもった声が漏れ、いっそう深い角度で欲を注ぎ続ける。

すると菫は次第に黎のキスに心地よさを感じ、ぎこちないながらも舌を絡ませ黎の動きを受け止められるようになった。

夢中でキスを交わし、いつの間にか拘束が解かれていた腕を黎の首に回したとき、黎は名残惜しそうに菫の唇を解放した。

小さなリップ音が寝室に響く。

「かわいいな、菫」

はあはあと荒い呼吸を繰り返す菫の目尻にたまっていた涙を、黎は指先で拭い満足そうに微笑んだ。

「俺は菫とキスがしたかった。この二年、何度もだ」

そしてわずかに間を置き、菫の額に軽く口づける。

「それだけじゃない。俺は菫が欲しかった」

それまで菫の顔の両脇にあった黎の手がおもむろに動き、彼女の首筋から鎖骨をたどり始めた。

そして入浴後身につけた、菫にはやたら大きな黎のトレーナーの裾の中に入り素肌を刺激し始める。

「え」

菫はとっさに手を伸ばして黎の手を掴んだ。

恋愛未経験の菫にもこの先に控えていることなら簡単に想像できる。

いやいやと顔を振りながら、鼓動が激しく打ち全身を流れる血液が一気に熱くなるのを感じた。

< 87 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop