御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「黎君、あの、私。今さらだけど、は、初めてで。キスだってさっきのが初めてだから、あの……」

夢見が悪く動揺していたせいで気が回らなかったが、黎に借りたトレーナーは太もものほとんどを隠せていない。

ズボンも借りたのだがあまりにも大きくて結局履かずにベッドに潜りこんだのだ。

菫は空いている手でトレーナーの裾を無理矢理伸ばしながら、自分の軽率な判断を後悔した。 

「菫」

黎は恥ずかしさに赤みを増した菫の顔を、覗きこむ。

「俺のベッドで顔を赤らめる菫を見る日が来るなんて、思わなかった」

至近距離で告げられ、菫は今まで以上に頬がかっと熱を帯びるのを感じた。

「これほど幸せな気持ちになるとも想像してなかったよ。この二年、菫の心も体も自分のものにできたらと夢見てはあきらめての繰り返しでどうにかなりそうだった。だからもう、これ以上待てないし、待つつもりもない」

それまで止まっていた黎の手が、菫の肌の上で動き出す。

「ん……っ」
 
素肌に直接触れる黎の指先が意志を持ち、あらゆる場所を探り始める。

胸の頂を熱い手がかすめたとき、菫はつい我慢できず、声を漏らしてしまった。

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