御曹司の激愛に身を委ねたら、愛し子を授かりました~愛を知らない彼女の婚前懐妊~
「菫、手を上げて」

黎はそう言うやいなや菫の両手を伸ばし、手際よくトレーナーを脱がせた。

あっという間にショーツしか身につけていない身体が黎の目の前にさらされ、菫は羞恥のあまり両手で顔を隠した。

おまけにこの年になるまでなにも経験してこなかった自分が恥ずかしい以上に情けなくて、今にも泣いてしまいそうだ。

黎とならこの先に進んでみたいと思う一方で、やはり恥ずかしくて不安も大きい。

それに経験ゼロという事実がハンディに思え、なかなか勇気が出ないのだ。

するとそれまで菫の身体を包んでいた黎が起き上がり、菫から離れた。

「え……」

菫は顔を覆っていた手をそっと外し、黎の姿を探した。

「ん? 心配しなくても俺ならここだ」

黎は身につけていたものを素早く脱ぎ捨てて再び身を横たえると、当然のように菫を抱き寄せた。

「俺も、好きだよ」

黎は熱のこもった目を菫に向けてささやき、合わせるだけのキスを落とす。

お互いの肌が直接ふれ合い、菫は初めて感じる温もりに安堵を覚えた。

自然に両手を黎の背中に回し黎の身体にぴったり寄り添った。

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