たすけて!田中くん
***


最近こういうのが多い。

「お前が喜久本凪沙だな」

柄の悪い他校の連中が登校途中に絡んでくるのだ。
今朝は緑髪と銀髪の二人組で奇抜な髪色を間近で見て、唖然としてしまう。


「……違いますけど」

とりあえず嘘を吐いてみた。
実はこれで何回か成功している。

というのも、彼らは私の顔をよくわかっていないらしく、訝しげな顔をされるものの、「こいつじゃねーの?」と仲間内で話しているうちに走って逃げていた。


「は? お前じゃねぇの?」

「いや、これ見てみろってコイツだって」

スマホ画面を見ながら、私と見比べている。どうやらついに顔写真が出回ってしまったらしい。これはさすがに面倒なことになってきた。


「嘘ついてんじゃねぇぞ! こっち来い!」

「この女には誰もついてなくてラッキーだな」

私の手を掴み、無理矢理引っ張って歩き出した。


「ちょっと!」



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