皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「マーティン、引き受けなさい。女性にそこまで言わせたのよ。断る理由はありませんよね?」
 母親がものすごい形相で兄に言い寄っている。

 マーティンの耳が少し赤く染まっている。

 そしてさらに。
「今までマーティンの縁談を断ってきた甲斐があったわ」と、恐ろしいことを母親が呟いていたのしっかりとミレーヌは聞いてしまった。
 
父親はそれが聞こえていたのかいないのか、表情一つ変えなかった。
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