皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 そして、無事に卒業パーティの日を迎える。

 ミレーヌとエドガー、シャノンとマーティン、という組み合わせは警備にあたっていた騎士達も驚きを隠せなかった。
 そのカップルが通るたびに、なぜかざわざわと騒がしくなる。

 一つ目の騒がしさの原因は、マーティンの妹ミレーヌの件だ。
 エドガーとマーティンの妹の婚約は、騎士団の誰もが知る話となっていたのだが、マーティンの妹、つまり団長の娘という言葉だけが先走りしてしまい、ミレーヌの容姿に少々誤解を与えていたらしい。
 エドガーと共にいる女性があの団長の娘で、あのマーティンの妹なのか、と、すれ違う騎士たちが三度見するくらいに。

 二つ目の驚きは、マーティンが卒業する女子学生をエスコートしていたということ。しかも相手は、一部では噂になっていたシャノン。第一皇子の婚約者候補にまであがった娘。
 そして、その相手の第五騎士隊隊長のマーティンと言えば、団長に似た体格でまるでゴリラと言われている男。その二人が互いに幸せそうに微笑み合っている姿は、なんともまぁ初々しい。

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