皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 だが、そこはミレーヌの父親であり、かつ騎士団長であるシラク公爵。

「娘が進みたいという道を反対する父親であってはならない。騎士になりたいと思う子供の背中を押せないような騎士団長であってはならない。この未来を担う子供たちの人生を、大人の勝手な意見で決めつけてしまって、よろしいのか」

 その会議室の部屋の窓が共振するほどの大声が響いたため、皆、それ以上は何も言えなかった、らしい。
 力ある父親からの後押しもあり、ミレーヌはなんとか騎士科への進学が可能となった。

 後でその話を聞いた母親は「あら、残念。私もその場にいたかったわ」と言って、上品に笑っていた。
 ミレーヌはそうやって後押ししてくれた父親に心から感謝していた。そして、一緒に喜んでくれた兄にも。
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