皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 意識が遠のき、痛みで意識が戻るような感覚。それを繰り返す。
 これがいつ終わるのかわからない、というそんな不安の中、目の前の眩しい光に導かれ目を開けた。
 だが、何も見えないのは何かが視界を遮っているからだ。

「気が付かれましたか! 隊長」
 いつもの副隊長の声が聞こえた。顔に誰かの手が伸びてきて、視界を遮っているものを外そうとする。

「ここは……」
 記憶を思い起こしながら、ゆっくりと身体を起こす。

「派手にやられたな、エドガー」
 よく耳に馴染んだ声が聞こえる。ああ、その声は。

「その声は、マーティン。なんだ、第五騎士隊が来たのか」

「なんだとはなんだ。誰が回復魔法をかけたと思っている」

 魔導士だろ、何を当たり前のことを言っている。あまりにも脳みそがお花畑で、とうとういかれてしまったか、と思った。
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