皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
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 さて、こちらはめんどくさい男ことエドガー。時間は少々遡る。
 足早に去っていったミレーヌが気になって仕方ない。どのくらい気になるかというと、事務仕事に手がつかないくらい気になっている。

 だから休憩という名目で、外に出てきた。一歩間違えればストーカー。いや、彼女とあまり会えていないし、会ったとしてもこの敷地内であり、挨拶を交わす程度だから、ストーカーにはならない、とエドガー自身は思っている。

 エドガーが気になっている女性、いや好意を寄せているミレーヌは、中庭のベンチで他の人物と話をしたり、書き損じの紙を広げたりして、何かをやっているようだった。
 エドガーが特に気になっているのは、ミレーヌと一緒にいるその他の人物だった。
 一人はふわふわ髪の女の子。もう一人は? ミレーヌと同じ騎士服に身を包む、長身の、誰だ? 
 こんな遠くからでは顔もなんとなくしか見えない。ただ、見えたとしてもその相手で誰であるかがわかるのか、というのは別問題である。
 というのも、エドガーだって自分の隊員すらすべての顔と名前が一致するわけではないということ。これがマーティンであったならば、すべてを把握している。エドガーだからだ。他人に興味を持たない彼だから。
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