クールで無口(大嘘)な白井くんは愛が重い
「姫ですって言って童話に出てきても違和感なさそうだからずるいよね」
「その嫉妬の仕方はだいぶ理不尽だけどね」
香織とそんな話をしながら、立ったまま寝ている器用な彼を見つめる。見つめるなんてお上品なものじゃなくて、これはもうガン見の域だけど。
だって。
普段恐れ多いとかなんとか言ってるひとたちが、ここぞとばかりにガン見していて、なんかこう……ほんとになんの意味もないけど張り合いのようなかたちだ。
目を逸らしたら負ける。たぶん。……何に?
ガン見されている原因は白井くん自身にある。うちのクラスの扉、廊下側、その隣の壁に寄りかかって寝ているから。
「……ねえ、宮坂さん。どうやって彼を落としたの?」
「落としてないし、わたしが落としてるとしたらどうにか引き上げたい」
「え?」
困惑してる。そんなに困惑の種なこと、言ったかな。こういう女子からの男子をめぐっての妬みって、ほんとうに言われるものなんだ。ファンタジーだと信じてた。
にしても、寝てるとは言え本人の目の前で。そんな強さがあるから話しかけてみればよいのでは……。