クールで無口(大嘘)な白井くんは愛が重い
「俺が思っていた以上に、俺とのちがいっていうものがたくさんあって……、」
「そうですよ。さっき、1歩引いたり、みたいなこと言ってましたけど。あれ3歩くらいは引いてますからね」
「かわいいですね」
「言わせなかったのになんで言うの!」
「人間、意外と伝わってないものなんですよ。だから伝えていかないとなって」
「もうじゅうぶんすぎるんですが……?」
嘘だ。白井くんはつぶやいて、ちらりと横目でわたしを見た。それにびっくりしている自分がいることに、さらにびっくりしてしまった。
だってわたし、いま。
「全然足りてる気がしません。俺が、伝え足りないんです」
低く掠れた声で言われたこと、見たことのないような鋭さと黒を帯びた視線を向けられたこと、自分を見たということ。
──それらに驚いたわけじゃ、なかったから。