年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
金城の言葉が浮かんで、私ってば、なんてチョロい女なんだろうと自分自身を殴ってやりたいような気持ちになる。ボディーガードをしにきたのに、あろうことか雇い主と関係を持とうとするなんて。
「はい、ああ、分かっている。わざわざ電話しなくていいから」
社長が内線を切った。
「ごめん、永井からだった。もう予約の時間ですよって」
今度は永井さんの「おっぱい星人だから」という言葉が頭をこだまする。私は心も体もすっかり冷め切っていた。永井さんは社長の手の早さを心配して内線をかけてきたのだ。私も何、まんまと社長の手にひっかかってるの。バカバカバカ。
「最後にもう一度だけ、キスさせて」
社長が近づいてきたけれど、私はきっぱり断った。
「申し訳ございません、私、どうにかしておりました。着替えたいので、先に降りていてください。すぐに参ります」
目を少し開いて驚いた様子を見せた社長は小さく肩をすくめると
「分かった、急がなくていいからね」
と言うと部屋を出ていった。
そうだ、桜庭ジンは女の噂が絶えないし、秘書にも手を出しているような男だし、友人にまで気をつけろって言われるような男じゃない。もう嵐はあのころの嵐ではないのだ。嵐は死んでしまったと思おう。私がずっと心の中で大切にしてきた嵐はいないのだ。あの人は、女癖の悪い桜庭ジン。私が仕事で守るべき人。
私はじゃばじゃばと水で口を洗うと軽くリップを塗り、下着を変えるとすぐに下に向かった。
「着替えてくるっていうから、ドレスでも着てくるかと思ったらそのまんまなんだね」
焼肉店のカウンターに並んで座ると社長が言った。
「はい」
素っ気なく答える。横並びでよかった。社長と目を合わせなくてもなんら不自然じゃない。
「・・・びしょびしょになっちゃったもんね」
耳元で内緒話をするように社長がささやき、私の頬は紅潮した。
「ちっ! ちがっ!!」
「あ、やっとこっち見てくれた」
社長がにっこり笑って言う。絶対に懐柔されないぞと思っているのに、いちいちが子どもっぽくてつい氷解してしまいそうになる。
「カウンターでいちゃつかないでくれる?」
生ビールを二つ持ってきた金城が冷めた目で言った。
「えっ、私、ウーロン茶頼んだつもりでしたけど」
「いやいや、冗談でしょ~、ねえジン」
「だよね~、ゴウ」
急にタッグを組み始めた二人に、
「はい、ああ、分かっている。わざわざ電話しなくていいから」
社長が内線を切った。
「ごめん、永井からだった。もう予約の時間ですよって」
今度は永井さんの「おっぱい星人だから」という言葉が頭をこだまする。私は心も体もすっかり冷め切っていた。永井さんは社長の手の早さを心配して内線をかけてきたのだ。私も何、まんまと社長の手にひっかかってるの。バカバカバカ。
「最後にもう一度だけ、キスさせて」
社長が近づいてきたけれど、私はきっぱり断った。
「申し訳ございません、私、どうにかしておりました。着替えたいので、先に降りていてください。すぐに参ります」
目を少し開いて驚いた様子を見せた社長は小さく肩をすくめると
「分かった、急がなくていいからね」
と言うと部屋を出ていった。
そうだ、桜庭ジンは女の噂が絶えないし、秘書にも手を出しているような男だし、友人にまで気をつけろって言われるような男じゃない。もう嵐はあのころの嵐ではないのだ。嵐は死んでしまったと思おう。私がずっと心の中で大切にしてきた嵐はいないのだ。あの人は、女癖の悪い桜庭ジン。私が仕事で守るべき人。
私はじゃばじゃばと水で口を洗うと軽くリップを塗り、下着を変えるとすぐに下に向かった。
「着替えてくるっていうから、ドレスでも着てくるかと思ったらそのまんまなんだね」
焼肉店のカウンターに並んで座ると社長が言った。
「はい」
素っ気なく答える。横並びでよかった。社長と目を合わせなくてもなんら不自然じゃない。
「・・・びしょびしょになっちゃったもんね」
耳元で内緒話をするように社長がささやき、私の頬は紅潮した。
「ちっ! ちがっ!!」
「あ、やっとこっち見てくれた」
社長がにっこり笑って言う。絶対に懐柔されないぞと思っているのに、いちいちが子どもっぽくてつい氷解してしまいそうになる。
「カウンターでいちゃつかないでくれる?」
生ビールを二つ持ってきた金城が冷めた目で言った。
「えっ、私、ウーロン茶頼んだつもりでしたけど」
「いやいや、冗談でしょ~、ねえジン」
「だよね~、ゴウ」
急にタッグを組み始めた二人に、