年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
とつぶやいた。ドキリ、と胸が小さくはねる。この容姿だから何をやっても様になるのだけど、私が心を動かされるのは完璧な社長ではなくて、ふとしたときの素が見えたときなのだ。私はかぶりをふってその思考を吹き飛ばした。いやいや、だからこの人はそういう対象にはしてはいけない人!
社長から視線を外すと、気になる女性が視界に入ってきた。窓際の席に座って、小綺麗な格好をしているのに顔は土色で、何やらぶつぶつつぶやいてこっちを見ている。その女性に向かい合って座っているのも女性だったが、この女性はあからさまな敵意を向けてにらんでいた。
私と目が合ったせいか、発狂したように立ち上がると、こちらに向かって走り出してきた。キラリ。女性の手に光るものが見えた。
「危ない!」
私はカウンターの椅子から飛び降りると、ためらわずに彼女の手を蹴り上げた。カシャン。金属音がして、ナイフが転がる。
「きゃああああ!!!」
他の客たちからの悲鳴があがる。立ち上がろうとする彼女にかけより、私は彼女を押さえつけた。
「・・・君か・・・」
カウンターから立ち上がり、見下ろした社長は、先ほどまでと本当に同じ人物かと見間違うほど冷めた表情を浮かべていた。
「う・・・うわあああああああああん」
彼女は激しく泣き崩れ、私は手をゆるめた。こうなってはもう急に襲いかかってきたりはしないだろう。
「あんたねえ・・・!! 妹がこんなことになってんのよ! 責任とりなさいよ!!」
彼女の真正面に座っていた敵意むき出しの女がつかつかと社長の前にやってきて胸ぐらをつかむ。私はさっと移動すると姉の手をつかんでおろし、間に割って入った。
「なっ、なんなのよ、あんた! さっきから!!」
「それはこちらの台詞です。・・・金城さん! すぐに警察に電話してください。殺人未遂、および恐喝事件です」
店内のどよめきが一層強くなった。
「・・・行くわよ!」
警察という言葉に動揺したのか姉は泣きじゃくる妹を引きずるようにして店を出て行った。
「どうする? まじでかける? 警察」
ノー天気な様子で金城が聞いてくる。
「いい、大丈夫だ。もう出よう。請求は俺にまわしてくれ。さっきの二人分のもまとめてな」
「いいのか?」
「迷惑料だ」
「サンキュー」
社長は周囲の視線をさけるようにさっさと店を出て行く。
「あ、ご、ごちそうさまでした」
社長から視線を外すと、気になる女性が視界に入ってきた。窓際の席に座って、小綺麗な格好をしているのに顔は土色で、何やらぶつぶつつぶやいてこっちを見ている。その女性に向かい合って座っているのも女性だったが、この女性はあからさまな敵意を向けてにらんでいた。
私と目が合ったせいか、発狂したように立ち上がると、こちらに向かって走り出してきた。キラリ。女性の手に光るものが見えた。
「危ない!」
私はカウンターの椅子から飛び降りると、ためらわずに彼女の手を蹴り上げた。カシャン。金属音がして、ナイフが転がる。
「きゃああああ!!!」
他の客たちからの悲鳴があがる。立ち上がろうとする彼女にかけより、私は彼女を押さえつけた。
「・・・君か・・・」
カウンターから立ち上がり、見下ろした社長は、先ほどまでと本当に同じ人物かと見間違うほど冷めた表情を浮かべていた。
「う・・・うわあああああああああん」
彼女は激しく泣き崩れ、私は手をゆるめた。こうなってはもう急に襲いかかってきたりはしないだろう。
「あんたねえ・・・!! 妹がこんなことになってんのよ! 責任とりなさいよ!!」
彼女の真正面に座っていた敵意むき出しの女がつかつかと社長の前にやってきて胸ぐらをつかむ。私はさっと移動すると姉の手をつかんでおろし、間に割って入った。
「なっ、なんなのよ、あんた! さっきから!!」
「それはこちらの台詞です。・・・金城さん! すぐに警察に電話してください。殺人未遂、および恐喝事件です」
店内のどよめきが一層強くなった。
「・・・行くわよ!」
警察という言葉に動揺したのか姉は泣きじゃくる妹を引きずるようにして店を出て行った。
「どうする? まじでかける? 警察」
ノー天気な様子で金城が聞いてくる。
「いい、大丈夫だ。もう出よう。請求は俺にまわしてくれ。さっきの二人分のもまとめてな」
「いいのか?」
「迷惑料だ」
「サンキュー」
社長は周囲の視線をさけるようにさっさと店を出て行く。
「あ、ご、ごちそうさまでした」