年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
 八神桃花は笑顔で手を振りながらスタジオを去っていく。沖縄? 沖縄にくる? これから?? いやいや、撮影の仕事って言ってたし、そもそも彼女が沖縄にきて、例え社長と会ったとしても私には関係のない話だし、いや、社長はまだシンガポールだし。まとまならない考えが頭の中をぐるぐるめぐる。
 私は振り切るようにラストスパートをかけ、ランニングマシーンから降りた。私には何一つ関係のない話なのだ。社長が何者かに危害を加えられることがないようお守りするだけ。
「お先に」
 私は金城に声をかけジムの出口に向かう。シャワーは部屋であびるつもりだ。
「なあ、あんた、ゴルフ出来るか?」
 金城がランニングマシーンから降りて私に言った。
「ゴルフ? まあ人並み程度には」
「じゃあ、明日ゴルフ行こうぜ」
「嫌です」
「なんでだよっ」
「お金ないんで」
「おまえなあ・・・誘ってるのこっちなんだし俺が出すわそんくらい」
「えっ」
 思わぬ申し出にぎょっとしていると
「俺も一応経営者だから。金には困ってないの。明日友達とゴルフ行く予定だったんだけど、足を捻挫したらしくてさ。予約はもう取っちゃってるからもったいねーなと思って」
 ゴルフ、ラウンドするのは一年ぶりほどになるが、ちょうどこのもやもやを吹き飛ばすにはぴったりのスポーツかもしれない。
「そういうことでしたら行きます」
「じゃあ、明日朝9時に下に迎えにくるわ。ゴルフクラブはレディースならなんでもいいよな?」
「はい、よろしくお願いします」
 
 翌朝9時ぴったりに金城はやってきた。ドアが斜めに持ち上がるスポーツカーで、私は怯む。
「ほら、さっさと乗れよ」
「いや~、こんな車のるのはじめてで・・・」
 私は助手席に小さくなって座った。
「あんた、ゴルフはどれくらいで回れるの?」
「えーっと・・・どれくらいでしょうかね。最後に行ったのも一年前だったし・・・あまり上手ではありません」
「げっ120とか130とか叩くなよ」
「善処します」
「ところで、あんた何歳?」
「三十です」
「じゃあ敬語なし。ババアに敬語でしゃべられてもこっちが気まずいし」
「はいはい」
「しかし、また色気のねえ格好だな」
 ゴルフウェアなんて持参してないから、スポーツ用のジャージ下にポロシャツを着ただけである。
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