年下イケメンホテル王は甘え上手でいじわるで
「ババアが色気出してもキモいだけでしょ。だいたいあんたは気合い入れ過ぎなのよ」
 私は横目で金城を頭の先からつま先まで見やる。
「サングラスにど派手なシャツとパンツ。ちんどんやかっての」
「ケンカなら買うぞ」
「そっちが先に言ってきたんでしょ」
「じゃあ、今日のゴルフで勝負な。負けたら高級料理おごるってことで」
「ハンデは?」
「やるわけねーだろ。あ、ティーはレディースティーから打っていいから」
「何それっひどっ、勝てるわけないじゃない」
と言いながら、私の中でめらめらと闘志の炎が燃えがった。ゴルフは社会人になってから上司との付き合いではじめたのだが、負けず嫌いな性格と筋肉質な体が向いていたのか、めきめきと上達し平均で80台でまわれるようになった。80台は、ゴルフをやっている人の中ではまあうまいほうに分類される。コースはお金がもったいないのでほとんどまわることはないのだが、今でも打ちっ放しの練習には定期的に行っている。久しぶりのラウンドということだけが懸念事項だが、それをのぞけばそこそこいい勝負が出来るのでは?と思っていた。

「ナイスショット!!」
 ドライバーを大きく振って、芯にあたり、ゴルフボールが弧をかいて飛んでいく様は最高に楽しい。キャディーさんがにこにこしながら叫んでいる横で
「おいおい、マジかよ」
と金城が青ざめていた。
「すごいですねえ、お姉さん」
 キャディーさんの言葉に「なんか今日は調子がいいみたいです~。いつもはぼろっぼろなんですけど」としらじらしく言った。5ホール目に入って、スコアは私のほうが上である。
「今のドライバーも200くらい飛んでましたよ」
「わ~うれしい」
 それに動揺したのか、金城のティーショットは大きく右に曲がりバンカーに転がり落ちた。
「ちっ」
 金城の舌打ちに内心笑いが止まらない。ゴルフというスポーツは、本当に自称上級者が非常に多い。下手なくせに自分よりも出来ない人を見つけては上から指導したりしてくる。私もまだやりはじめたころは、上司含めいろんな人からわんさか謎の説教を受けていたが、いつの間にか私のほうがうまくなるとなんにも言わなくなるのだ。そしてついには
「レディースティーから打つのはずるい、男と同じところから打て」(レディースティーは女性専用のティーで少し前から打てるのだ)
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