ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う

第二章

　スイレンはいつも通りに仕事場であるガーディナー商会に出勤した。今日は借り家を用意してくれたジョルジオとも話さなければならない。

　昨夜あったことを思い出すと、自然顔が熱くなるし、訳もなく思わず走り出したくなる。大好きなリカルドと恋人同士になれて、本当に嬉しい。ただ歩いているだけなのに、思わず微笑んでしまうのを止めることが出来ない。もしかしたら、前から歩いてくる人には変に思われるかもしれないけど、それでも構わない。もう、今日は何でも許せそうな気もする。

「……おはよう、スイレンちゃん」

　茶色い髪のブレンダンが目を擦りながら店の奥から現れた。フラフラした足取りだし、強いお酒の匂いもする。服も昨夜のままそのままなのか、いつもきっちりとしている彼なのに珍しく皺が寄ってよれっとしていた。

「ブレンダン様、おはようございます。今日はご実家に泊まられたんですか？」