ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う
 その時、彼の後ろから可愛らしい男の子が現れた。珍しい濃い青の髪をした非常に顔立ちの整った少年だ。目は涼やかな水色。ブレンダンの親戚の子だろうか? と首を傾げたスイレンにその子はいきなり手を取った。

「昨日は心配したスイレン。……安心しろ、ブレンダン。まだ彼女は処女だ」

 その年齢の子には珍しいくらいの淡々とした口調で、何だかとんでもないことを言った気がする。唖然としたスイレンに慌てたブレンダンは慌ててその子を引き剥がす。

「クライヴ。お前、朝会うなり、女性になんてこと言うんだ……ごめん。まだ人型になったのが、これが初めてで人間の常識が良くわかってないんだ」

「何を言うブレンダン、大事なことだ。もしそうならお前にもチャンスがあるかもしれないじゃな……」
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