ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う
 後半は慌ててクライヴの口を塞いだブレンダンは、冷や汗をかきながらスイレンの様子を伺う。先ほどのあまりの衝撃に言葉もないスイレンだが、この可愛らしい男の子はリカルドの竜ワーウィックのように、人化の魔法を使ったあの青い氷竜のクライヴだと言うことは理解した。彼は突拍子もないことを言い出したが、竜と人間の常識は違うだろうし仕方ないことだと察した。

「えっと、クライヴ? ブレンダン様の氷竜クライヴなんですね」

「それはすこし語弊があるよ。スイレン。僕はブレンダンと契約はしているが、この男の所有物ではない。むしろかわいい君のものになりたい」

「お前はまた、何を言っているんだ」

 呆れたブレンダンはさらっと甘い台詞を吐いたクライヴの頭を小突いて、スイレンにその濃い青の頭を下げさせた。竜の年齢はわからないがその人化した姿からすると、ワーウィックとほぼ同じ年齢くらいなのではないだろうか。どうやらクライヴはワーウィックよりも、女の子を喜ばせる言葉を使うことが出来るらしい。

「えっと、正直吃驚しましたけど、大丈夫です。クライヴも守護竜イクエイアス様にお願いしたんですか?」
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