ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う
「そう、ワーウィックが人間の姿になって君と一緒に居るのを見て、自分も絶対人化したいと何回も訴えたんだよ。それで、イクエイアスが渋々許可したんだ。本当はあまり人間の社会を乱すようなことはしたくないらしいんだけどね、ワーウィックの前例を作っちゃったからさ」

 店先で立ち話するのも何なので、スイレンはとりあえず、いつも自分が仕事をするのに使わせてもらっている花の種を保管している小部屋へと歩いた。ブレンダンとクライヴもそうすることが当たり前のように話しながら着いて来ている。

「……リカルド、イジェマと婚約解消したんだってね」

「え? ええと、はい。そうお聞きました」

 顔を綻ばせながら仕事の準備をしながらも頷いたスイレンに、どこか複雑そうな顔をしてブレンダンはため息をついた。

「なるほどね、あいつは最初から君に本気だったって訳だ……どんなに急いでも貴族の婚約解消って時間がかかるからさ、帰って来てすぐに、手続き始めて向こうの家にもそれなりに対価を払ってってとこかな」

「……対価、ですか?」
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