【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 例え貧しくても、この国の名物の花娘であったという経歴は嫁入りには有利だ。マーサの上機嫌な様子からしてかなりのお金を積まれたのではないだろうか。

「あのっ……その店の場所は、場所はどこですか」

 そして告げられた場所は、王都とは言えこの場所から反対側だ。徒歩で来ることを考えるのなら人のいない早朝にリカルドに会うことはもう出来まい。

 マーサに明日出立の時に着る服を乱暴に渡され、小屋に戻ったスイレンは静かに泣いた。

 もうあの強い瞳を持つ竜騎士に会うことは出来ない。思いが通じ合った恋人でも、なんでもないけれど、すっかり好きになっていてしまっていることに気がついた。

 檻の中のあの人に攫って欲しいなんて、大それた願いだけが心の中に浮かんできて、必死でそれを打ち消しながら、眠れない夜を過ごした。
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