【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 リカルドはいつも通りもう目覚めていて、強い光を秘めた目でスイレンを見つめた。この綺麗な茶色の目に自分が映るのはもう最後だと、そう思うとスイレンはもう枯れてしまったと思っていた涙が流れ出しそうになって、思わず堪えた。

「あのっ……私、もうここに来れなくなっちゃうんです……急に縁談がまとまって……その家からはかなり広場まで距離があるので、もうここには来れないことになりました」

 リカルドは表情を変えることなく、それを聞いていた。当然だ。彼はスイレンに会いたくてここに居るわけではない。

 逃れられない檻の中、どうしようもなくここに留まっているに過ぎない。それを改めて感じてスイレンは肩を落とした。

 きっと自分が来ても来なくても、何とも思わないんだろう。すこしでもさみしいと思ってくれたらと思う気持ちがどうしても、消せない。


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