【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 クライヴがそう言ったその時、確かに空気が変わった。何かすっとした冷たいものが身体中に走り、弾けるように清涼な空気は満ちていく。今まで感じていなかったのが不思議なくらいの圧から解放されたのだ。

(さあ、行け。古き魔法を使う人間。約束は一日だけだ)

 クライヴはスイレンの手を取って洞窟の入り口へと向かって走り出した。早く早くと駆ける心が抑えられない。ズキズキと痛む足も、もうとうに尽きてしまっている体力も関係なかった。ただただ、傷ついていたあの人の元に行きたかった。助けたかった。今すぐにでも。

 洞窟を抜けると、何か色とりどりの流れ星のようなものが、幾筋も続々と空から落ちてきていた。

「……あれは?」

「竜騎士達だよ、約束通りイクエイアスが救出に、向かわせてくれたんだ。僕も加護が戻ってきたから今から竜化する。スイレン、行こう」

 クライヴは身震いをすると一気に膨れ上がるように竜化した。青く美しい鱗がきらめく氷竜が、自分の背に乗るようにと顎で示すとサッと身を伏せた。急いでその体にしがみ付くとクライヴが翼を広げて素早く飛び立つ。

 上空から飛行して向かうと一瞬の間に野営地まで辿り着く。クライヴは一度大きく旋回すると、一気に降下を始めた。
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