ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う
(え、この可愛い子、何。誰。罠?)

 そのまま檻の中で夜を明かす事になったリカルドは朝まで浅い眠りを繰り返し、呆けた頭で考えた。

 物凄く可愛い女の子が檻の外から自分の顔を覗き込んでいる。何故かたくさんの花の入った籠を持ち、大きな若草色の目はこぼれ落ちんばかりに大きい。

 さっき自分に挨拶したようにも思う。そう朝の挨拶だ。こんな檻の中では非現実的でさえある。自分の反応を待ってか、その首を傾げているあまりの愛らしさに笑み崩れそうになる自分を律した。

(何を考えているんだ。ここは敵国ガヴェアだぞ、きっと情報を盗み取るための罠だ)
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