【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
(え、何あの花、リカルド、理由わかるの?)

 明らかに動揺して戸惑っている声が聞こえてくる。リカルドは訳もわからぬ焦燥感に襲われるのを感じた。あんな目立つことをして、あの子は大丈夫だろうか、罰せられたりしないだろうか。自分が後で迎えに来るとちゃんと伝えていればあんな無茶なことはしなかっただろうか。

(ワーウィック、一回戻れるか)

 その言葉にワーウィックは憤慨した。せっかく命からがら助け出したところなのに何言っているんだと思っている。イクエイアスがこの王都の守護魔法を弱めている時間はもういくらかもなかった。

(頼む。どうしても、連れて行きたいんだ)

 そのいつにない相棒の必死の声に、ワーウィックは瞬時に判断を下す。迷っている時間は、なかった。一気に速度を上げて下降を始めた。

(チャンスは一回だよ、リカルド。いくら僕でも、結界に閉じ込められたらもう出られない)

 リカルドはその言葉に何も返さず、意識を集中させた。可愛いあの子の未来を手に入れる。その一瞬を逃さないために。
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