【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 これでやっと両思いになり、恋人同士になれた。

 それをただの幸運だと片付けてしまうには何か違う気がした。あの檻の中死を覚悟して絶望していた自分に舞い降りた天使が手に入るなんて、誰も想像しなかったに違いない。

 もちろん自分もそうだ。

 柔らかな栗色の髪に指を絡める。ずっとこうしたかった。

 隣の部屋に彼女が居ると思うと悶々として眠れない夜もあった。けれど、きちんとけじめだけはつけねばならないとそれだけを思って我慢していたのだ。

 婚約者の居る貴族の自分に弄ばれた平民の女の子という立場に絶対したくはなかった。だからすこしでも手を出す時は必ず婚約解消してから、と思っていた。

 それがいま叶い、本当に嬉しかった。

 すうすうと規則正しい寝息が聞こえる。それを聞きながら、スイレンを後ろから抱きしめて目を閉じた。

 スイレンのこの花のような匂いはきっと花魔法を使えることにも関係あるのだと思うが、近くで嗅ぐと陶酔してしまいそうな程に良い匂いだった。

 その香りで肺をいっぱいにしながら幸せな気持ちだった。
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