ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う

　そう言って微笑む、黒縁眼鏡をかけている彼女はとても愛らしい。

　なんと例えれば良いのだろうか、そう薄紅のダリアのような華やかさがありながら可憐で。まじまじと自分の顔を見ているスイレンの様子を見て、彼女は不思議そうな顔をした。

　それを見て、自分に話しかけていることに気がつき慌てて言葉を口に出した。

「あのっ……私、ええと、スイレン・アスターと言います。ここで働く竜騎士のリカルド・デュマースに忘れ物を届けに来たんですけど……」

　そうスイレンが自己紹介をすると彼女はぱっと明るく微笑んだ。

「え？　リカルドさんの彼女？　私、リカルドさんの同期のゴトフリー・マーシュと付き合っているアリス・フォークナーです。以前にリカルドさんに助けてもらったこともあるんだよ。えっとね、多分、今皆鍛錬で不在なの。私ちょっと業務の予定が変わっちゃって朝にゴトフリーにお弁当渡せてなくて……良かったら、外にある訓練場まで一緒に届けにいく？」