【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 小さな頃から役立たずだと罵られ、一番近しい人達から容姿も貶されて育ったスイレンは、自分の容姿をけっして美しいとは思えなかった。

 口の上手いどこだかの貴族の従者なんかには花娘という職業もあり、言い寄られることもあったが、断ったら嫌な女だと罵られ、それも嫌な思いをしただけに終わった。

 それでも、リカルドの前ではちょっとでもマシな自分で居たいと思ってしまった。あの人に似合うのは無理でも、それでも、すこしだけでも可愛くなりたいと思う。

 髪を生活魔法で乾かして高級な下着と可愛らしい寝巻きを恐る恐る身につけたスイレンは、このまま寝てしまって良いのかわからなかった。

 寝る前の挨拶はするべきだろうか? たくさんの物を与えてくれたリカルドに、せめてお礼は言いたいと思って教えられた部屋のドアを叩く。

「……おっと」

 部屋のドアを開けたのはここに来る空の旅でリカルドに軽口を叩いていたブレンダンと言われた青年だった。彼はスイレンを見てヒュウと口笛を吹く。
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