【5/10書籍2巻3巻同時発売】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 次の日、起きるとすっかり日は高かった。

 昨夜リカルドが持ってきてくれた紙袋に入っていた、可愛らしいシンプルな水色のワンピースを着る。

 自分の部屋から出て、昨日夕食を頂いた部屋を覗くと、布のかけられた朝食が用意されていた。傍には流麗な文字の置き手紙があり、疲れているだろうから、ゆっくりと休むようにと書いてあった。思わずリカルドの署名を指でなぞってしまった。想像通りの綺麗な文字だった。

 この様子からしてリカルドはもう出てしまっているようだ。通いのメイドのテレザも何か作業をしているのか、今は姿が見えない。用意されていた朝食を食べて皿洗いまで終わらせると、呼び鈴の音がした。

「や、スイレンちゃん、こんにちは」

 ドアの向こうでは、ブレンダンが悪戯っぽく微笑んでいた。

「ガーディナー様。あの、リカルド様は……」

「いないよね、知ってる知ってる。凱旋式はもうはじまっているからね、良かったらスイレンちゃん見に行かない?」

「え、でも」

 リカルドから来てはダメだと言われているために、スイレンは逡巡した。

「良いから、良いから。正式の竜騎士服着ているあいつ、見たくない?」

 正式な竜騎士服。コクっと喉が鳴った。あの黒い竜騎士服も良く似合っていたが、正式なものというと、どういった物なのだろうか。そんなスイレンの様子をお見通しと言わんばかりで、ブレンダンはさり気なく手を取ると、困惑するスイレンを誘い出した。

「あのっ……でも」
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