離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 邪魔者は、白鳥だけじゃなかった。

 「シーちゃん、大丈夫か? 」

 シーちゃんだと?!

 俺だって、「シエナ」と呼ぶのが精一杯なのに!

 モヤモヤっと、したものが心の奥底からフツフツッと、湧いて来る。

 許すまじ!!

 眼鏡をクイッっと、直すふりして、シーちゃん呼びしたチーフの顔を、チラリと見る。


「?!!」

 嘘だろ、おい!!

「顔色悪いぞ」

 チーフは事もあろうか、シエナの頬を撫で摘んで、微笑み合っているではないか!

 まさか、この二人、出来ているのか?!

「シエナ!」

 イラッとして、思わず彼女を、チーフから引き離す。

「キャ…… ッ」

 よろけて、肩にもたれ掛かった、シエナをジッっと見つめる。

 俺には、ほんの少しの可能性もないのか?!

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