エリート副操縦士は年下妻を過保護に愛を注ぎたい。
***
「……ん」
なぜか薬品の匂いがして少し重たい瞼をゆっくりと開けた。すると、左手には点滴針が刺さっていてポタポタと音がしていた。
「あ、起きました? 大丈夫ですか?」
「……ぇ、あの……」
「空港で倒れたんです。たまたま、僕の弟が通ったのでここに運んでもらいました」
倒れた……空港で?
運んでもらったということは、ここは病院?
「もうすぐ点滴終わりますね。ですが今日は安静して一日入院してもらいます」
お医者様は私の腕から点滴針を取りながらそう話した。
「……入院? それは無理です。お金ないですし、早く帰らないとヘルパーさんに迷惑がっ」
私は寝ていたのにいきなり起きようとしたからかグラっとしてしまった。それをお医者さんに支えられて「無理はいけません」と言われてしまった。だけど、無理しないといけない理由がある。
「……もう、私大丈夫ですっ! 帰ります」