エリート副操縦士は年下妻を過保護に愛を注ぎたい。



 私はそう叫んでベッドから降りようとしたけど、ずっと寝ていたからか力が入らず立てなかった。だけど誰かに支えられたのか床に落ちることはなかった。


「……大丈夫か?」


 そこにいたのは、病院なのに操縦士の制服を着ている男性。肩には三本線があるから副操縦士のはず……さっきお医者さんが言っていた弟ってこの人のことかな。


「無理をしないほうがいい。今は二十一時だ。君が心配しているお祖母様は大丈夫。ヘルパーさんから連絡があって帰ってもらった。今は俺の方で依頼をしたヘルパーに来てもらっている」

「え……」

「今日は休みなさい。詳しいことは明日話そう」

「でも、明日はアルバイトに行かなきゃいけなくて。」


 明日は、大学前に飲食店で講義が始まるまで行かなきゃいけないし大学が終われば、飲食店で閉店までシフトが入っている。それに内職もできていない。


「そうか。だがダメだ。その体で働くのはやめたほうがいい。君は大学生だろう?」

「そうですけど……アルバイトしないと生活できないですし、おばあちゃんのヘルパーさん頼むお金もないので」

「君が倒れたら元も子もない。現に倒れているだろ? お金は気にするな、俺が勝手にしたことだと思ってくれ。だから今日は寝たほうがいい」


 抵抗する間も無く、彼に寝かされて布団をかけられてしまったために私は目を瞑った。

 明日、ちゃんとお礼を言ってお金はまた頑張って働いて返そう。そう思った私は眠りについたのだが……まさか、いろんなことが変わってしまうなんて思わなかった。




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